相続税対策に不動産管理会社を設立するデメリット
相続税対策に不動産管理会社を設立することで、次の2つのデメリットがあります。
1 . 不動産管理会社の設立・運営にコストがかかる
不動産管理会社は法人ですので、その設立や運営に次のようなコストがかかります。
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不動産収入が個人と法人に分かれるため管理が面倒である
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不動産管理会社が赤字であっても、法人市民税の均等割が7万円程度必ずかかる
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不動産管理会社の法人税申告に、税理士報酬がかかる
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家族に給与を支払う場合には、社会保険に加入する手続きが必要になる
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不動産管理会社が不動産を取得する際に、登録免許税・不動産取得税が課税される
このようなコストがかかるため、不動産管理会社を設立したとしても分散できる不動産収入が少額であるときは、コスト倒れになる可能性があります。
不動産管理会社を活用するときは、節税メリットとコストの試算を行い、両者の比較検討が必要です。
不動産管理会社は法人であるため、個人と比べると税務署の税務調査を受ける機会が増える可能性があります。
相続税対策や所得税対策として設立される不動産管理会社は、不動産オーナーの家族が役員や株主となりますので、次のようなことが税務調査において重点的にチェックされることになります。
なお、不動産管理会社を設立する目的の一つとして不動産オーナーの収入を分散させることがありますが、その方法として管理方式・転貸方式・不動産所有方式の3つがあり、そのいずれかの方法により税務調査でチェックされる項目も異なりますので注意が必要です。
参考までに、管理方式・転貸方式・不動産所有方式がどのような方法なのかについては、こちらで詳しく解説しています。
(1)管理方式の場合
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不動産管理の業務は誰が行っているのか(不動産管理会社自身なのか、外部の業者なのか)
なお、不動産管理会社が行う管理業務について、例えば、次のような業務を行うものとして契約書を交わしておくことが望ましいでしょう。
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共用部分の清掃、エレベーターなどの設備の保守点検、賃料不払い者への督促
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入居者の退去時の立ち会い、敷金返還、修繕の手配など
(2)転貸方式の場合
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不動産オーナーと不動産管理会社との間で建物賃貸借契約があるかどうか
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不動産管理会社がオーナーに支払う一括借上料に合理的な根拠があるかどうか
(3)不動産所有方式の場合
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不動産オーナー所有の不動産を不動産管理会社に売却しているときは、その譲渡価格が適正かどうか
このような税務調査に備えるため、面倒な手間(デメリット)をかけてでも不動産管理会社を設立することにメリットがあるのかどうかの検討が必要でしょう。