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相続税対策に不動産管理会社を活用するべきなのか?
相続税対策に不動産管理会社を設立するメリット
相続税対策に不動産管理会社を設立するデメリット
相続税対策に不動産管理会を活用して所得分散する
相続税対策に不動産管理会社を設立する
相続税対策に不動産管理会社をどのように活用するのか?
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相続税対策に注意すべき不動産管理会社の土地賃貸借
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相続税対策に不動産管理会社を活用するべきなのか?

相続税対策に不動産管理会社を活用するべきなのか?
この質問は、私どもが不動産オーナーからいだだくご相談の中で最も多いものの一つです。
では、相続税対策に不動産管理会社を活用するかどうかの判断はどのような基準で行えばよいのでしょうか。
相続税対策に不動産管理会社を設立する際には、次のようなメリット・デメリットがありますので、まずはこれを確認することが必要です。
【メリット】
【デメリット】
デメリットである諸費用や手間をかけたとしても、それ以上のメリットがなければ不動産管理会社を設立しても費用倒れになってしまいます。
そこで、不動産管理会社を設立するかどうかの判断のポイントとしては「不動産オーナーの不動産所得がどれくらいあり、どれくらいの不動産所得を不動産管理会社に移すことができるのか」ということになるでしょう。
また、所得税だけではなく相続税や法人税にどのような影響があるのかも踏まえて総合的に判断することが必要です。
(1)不動産管理会社を活用することによる所得税への影響
① 不動産所得
不動産を個人で所有している場合には、不動産収入は不動産所得として所得税が課税されます。
所得税の税率は所得の金額により5%から45%と設定されており、これに住民税10%が定率で加算されるため、所得税・住民税を合わせた税負担は15%から55%となります。
一方で、不動産管理会社に不動産収入を分散させた場合には、法人の収入について法人税が課税されます。
現行の法人の実効税率は現行32%程度、そして不動産管理会社が中小法人の場合は年800万円以下の所得に対して23%程度となっています。
法人の実効税率は平成28年度税制改正において、平成28年度以降20%台に引下げられます。
賃貸不動産を個人が所有するほうが有利なのか、不動産管理会社が所有するほうが有利なのかについては、不動産オーナーの不動産所得がどれくらいあるのかがポイントになります。
単純に所得税・住民税の税率だけで判断するのであれば、不動産オーナーの不動産所得が年900万円を超えているようですと、不動産管理会社が賃貸不動産を所有したほうが有利になります。
平成28年度以降は不動産所得が年700万円を超えていると不動産管理会社を活用することを検討する価値はあるでしょう。
② 譲渡所得税
不動産を個人で所有している場合に不動産を売却した場合には、不動産所得とは合算せずに譲渡所得として所得税が課税されます。
譲渡所得の税率は、売却した不動産を所有していた期間により次のように異なります。
・所有期間が5年超 所得税15%・住民税5%、合計20%
・所有期間が5年以下 所得税30%・住民税9%、合計39%
一方で、不動産管理会社が所有している不動産を売却した場合には、不動産の収入と合算して法人税の税率が適用されます。
現行の法人の実効税率は32%前後の税率、そして不動産管理会社が中小法人の場合は年800万円以下の所得に対して23%前後の税率ですので、これらの税率で法人税が課税されることになります。
不動産を長期所有するという前提なのであれば、不動産は個人で所有したほうが有利になるでしょう。
しかしながら、不動産管理会社では不動産の収入と合算して法人税が課税されますので、不動産管理会社において節税をすることができれば、不動産の売却に対する法人税を抑えることができます。
(2)不動産管理会社を活用することによる相続税への影響
不動産を個人で所有している場合に相続が発生すると、その所有している不動産の相続税評価額を計算して、この相続税評価額に対して相続税が課税されます。
一方で、不動産管理会社が不動産を所有している場合に、被相続人が不動産管理会社の株式を所有していれば、その株式が相続税の対象となります。
不動産を所有しているのはあくまでも不動産管理会社ですので、不動産管理会社が所有している不動産は相続税の対象とはなりません。
不動産管理会社が所有している不動産は、不動産管理会社の株式の相続税評価額を計算するときに関係します。
相続税を中心に考えた場合に、不動産を個人で所有したほうが有利なのか、あるいは不動産管理会社で所有したほうが有利なのかの判断は、不動産の現物よりも不動産管理会社の株式として所有したほうが相続税評価額を下げることができるという点において、不動産管理会社で所有したほうが有利になるでしょう。
ただし、不動産管理会社が不動産を取得してから3年間は不動産の評価は相続税評価額ではなく時価で行うこととされているため、不動産を取得した後すぐに相続が発生してしまいますと、不動産管理会社で所有すると不利になる可能性があります。
(3)結論
不動産を子供・孫世代により有利に引き継いでいくために不動産管理会社を活用する場合には、不動産は個人ではなく不動産管理会社で所有・管理・運営していくほうが有利になることが多いでしょう。
その理由は、不動産管理会社は個人で不動産を所有しているときに比べて相続税・所得税などの税負担をコントロールすることができるためです。
例えば、不動産管理会社であれば株価を引下げるなどの対策を事前に行うことができますが、不動産を個人で所有している場合は相続税評価額の計算方法はあらかじめ決められていますので、意図的に引下げることはできません。
不動産オーナーの家族の意思で税負担をコントロールできることが最大のメリットだと思います。
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